ある時代ある場所、乱れた世の片隅
ある じだい ある ばしょ 、 みだれ た よの かたすみ
aru Jidai aru Basho 、 Midare ta Yono Katasumi
少年は生きるため、盗みを覚えていった。
しょうねん は いき るため 、 ぬすみ を おぼえ ていった 。
Shounen ha Iki rutame 、 Nusumi wo Oboe teitta 。
醜く太った大人達などには
みにくく ふとった おとなたち などには
Minikuku Futotta Otonatachi nadoniha
決して追いつけはしない風のように
けっして おい つけはしない かぜ のように
Kesshite Oi tsukehashinai Kaze noyouni
今、空腹を満たすのがすべて
いま 、 くうふく を みた すのがすべて
Ima 、 Kuufuku wo Mita sunogasubete
是も非も超え、ただ走る。
これ も ひ も こえ 、 ただ はしる 。
Kore mo Hi mo Koe 、 tada Hashiru 。
清らかな、その心は穢れもせず罪を重ねる。
きよらかな 、 その こころは けがれ もせず つみ を かさねる 。
Kiyorakana 、 sono Kokoroha Kegare mosezu Tsumi wo Kasaneru 。
天国も地獄さえも、ここよりマシなら喜んで行こう。
てんごく も じごく さえも 、 ここより まし なら よろこんで いこ う 。
Tengoku mo Jigoku saemo 、 kokoyori mashi nara Yorokonde Iko u 。
「人は皆平等などと、どこのペテン師のセリフだか知らないけど」
「 にん は みなびょうどう などと 、 どこの ぺてん し の せりふ だか しら ないけど 」
「 Nin ha Minabyoudou nadoto 、 dokono peten Shi no serifu daka Shira naikedo 」
パンを抱いて逃げる途中、すれ違う行列の中の
ぱん を だい て にげ る とちゅう 、 すれ ちがう ぎょうれつ の なかの
pan wo Dai te Nige ru Tochuu 、 sure Chigau Gyouretsu no Nakano
美しい少女に目を奪われ立ちつくす。
うつくし い しょうじょ に め を うばわ れ たち つくす 。
Utsukushi i Shoujo ni Me wo Ubawa re Tachi tsukusu 。
遠い町から売られてきたのだろう。
とおい まち から うら れてきたのだろう 。
Tooi Machi kara Ura retekitanodarou 。
うつむいているその瞳には涙が。
うつむいているその ひとみ には なみだ が 。
utsumuiteirusono Hitomi niha Namida ga 。
金持ちの家を見とどけたあと
かねもち の いえ を みと どけたあと
Kanemochi no Ie wo Mito doketaato
叫びながら、ただ走る。
さけび ながら 、 ただ はしる 。
Sakebi nagara 、 tada Hashiru 。
清らかな、その身体に穢れた手が触れているのか。
きよらかな 、 その しんたい に けがれ た てが ふれて いるのか 。
Kiyorakana 、 sono Shintai ni Kegare ta Tega Furete irunoka 。
少年に力はなく、少女には思想を与えられず。
しょうねん に ちから はなく 、 しょうじょ には しそう を あたえ られず 。
Shounen ni Chikara hanaku 、 Shoujo niha Shisou wo Atae rarezu 。
「神様がいるとしたら、なぜ僕らだけ愛してくれないのか」
「 かみさま がいるとしたら 、 なぜ ぼくら だけ いとし てくれないのか 」
「 Kamisama gairutoshitara 、 naze Bokura dake Itoshi tekurenainoka 」
夕暮れを待って剣を盗んだ。
ゆうぐれ を まって つるぎ を ぬすん だ 。
Yuugure wo Matte Tsurugi wo Nusun da 。
重たい剣を引きずる姿は、
おもた い つるぎ を びき ずる すがた は 、
Omota i Tsurugi wo Biki zuru Sugata ha 、
風と呼ぶには悲しすぎよう
かぜ と よぶ には かなし すぎよう
Kaze to Yobu niha Kanashi sugiyou
カルマの坂を登る。
かるま の さか を のぼる 。
karuma no Saka wo Noboru 。
怒りと憎しみの切っ先をはらい、
いかり と にくしみ の きっ 先 をはらい 、
Ikari to Nikushimi no Kitsu woharai 、
血で濡らし辿り着いた少女はもう、
ち で ぬら し たどり つい た しょうじょ はもう 、
Chi de Nura shi Tadori Tsui ta Shoujo hamou 、
こわされた魂で微笑んだ。
こわされた たましい で ほほえん だ 。
kowasareta Tamashii de Hohoen da 。
最後の一振りを少女に。
さいご の いち ふり を しょうじょ に 。
Saigo no Ichi Furi wo Shoujo ni 。
泣くことも忘れてた。空腹を思い出してた。
なく ことも わすれ てた 。 くうふく を おもいだし てた 。
Naku kotomo Wasure teta 。 Kuufuku wo Omoidashi teta 。
痛みなら少年もありのままを確かに感じてる
いたみ なら しょうねん もありのままを たしかに かんじ てる
Itami nara Shounen moarinomamawo Tashikani Kanji teru
――お話は、ここで終わり。ある時代のある場所の物語――
―― お はなし は 、 ここで おわり 。 ある じだい のある ばしょ の ものがたり ――
―― o Hanashi ha 、 kokode Owari 。 aru Jidai noaru Basho no Monogatari ――