食べていくための仕事にひと休みして 私はTVをつけた
たべて いくための しごと にひと やすみ して わたし は TV をつけた
Tabete ikutameno Shigoto nihito Yasumi shite Watashi ha TV wotsuketa
眠らぬ旅のあれこれを 生まれた街で癒そうと試みていた
ねむら ぬ たび のあれこれを うまれ た まち で いやそ うと こころみ ていた
Nemura nu Tabi noarekorewo Umare ta Machi de Iyaso uto Kokoromi teita
明日にはこの街にも雪がちらつくだろうと
あした にはこの まち にも ゆき がちらつくだろうと
Ashita nihakono Machi nimo Yuki gachiratsukudarouto
季節はずれの天気予報が流れていた
きせつ はずれの てんきよほう が ながれ ていた
Kisetsu hazureno Tenkiyohou ga Nagare teita
明けきった5時半の空に 目を細めて チャンネルを変えた
あけ きった 5 じはん の そら に め を ほそめ て ちゃんねる を かえ た
Ake kitta 5 Jihan no Sora ni Me wo Hosome te channeru wo Kae ta
中継という文字 そして私の瞳に爆風が噴きつけて来た
ちゅうけい という もじ そして わたし の ひとみ に ばくふう が ふき つけて きた
Chuukei toiu Moji soshite Watashi no Hitomi ni Bakufuu ga Fuki tsukete Kita
長い間に見慣れてしまっていた白く平たい石造りの建物から
ながい まに みなれ てしまっていた しろく ひらた い いしづくり の たてもの から
Nagai Mani Minare teshimatteita Shiroku Hirata i Ishizukuri no Tatemono kara
朱色の炎と石くれが噴きあがる瞬間だった
しゅいろ の ほのお と いし くれが ふき あがる しゅんかん だった
Shuiro no Honoo to Ishi kurega Fuki agaru Shunkan datta
ゆらゆらと熱のかげろうはあがり
ゆらゆらと ねつ のかげろうはあがり
yurayurato Netsu nokagerouhaagari
やがて白い煙から土色の煙となって建物から噴き出していた
やがて しろい けむり から つち しょく の けむり となって たてもの から ふき だし ていた
yagate Shiroi Kemuri kara Tsuchi Shoku no Kemuri tonatte Tatemono kara Fuki Dashi teita
昨日までと今日は違うものなのだと
きのう までと こんにちは ちがう ものなのだと
Kinou madeto Konnichiha Chigau mononanodato
人はふいに思い知らされるのだね
にん はふいに おもいしら されるのだね
Nin hafuini Omoishira sarerunodane
蟻のように黒い人影が走り込む 身を潜める 這い進む 撃ち放つ
あり のように くろい ひとかげ が はしり こむ みを ひそめ る はい すすむ うち ほうっつ
Ari noyouni Kuroi Hitokage ga Hashiri Komu Miwo Hisome ru Hai Susumu Uchi Houttsu
どうせTVの中のことだと考えることもできず 考えないわけにもいかず
どうせ TV の なかの ことだと かんがえ ることもできず かんがえ ないわけにもいかず
douse TV no Nakano kotodato Kangae rukotomodekizu Kangae naiwakenimoikazu
ただ私は誰が何を伝えようとしているのか
ただ わたし は だれが なにを つたえ ようとしているのか
tada Watashi ha Darega Naniwo Tsutae youtoshiteirunoka
それだけに耳を傾けた それだけに耳を傾けた
それだけに みみ を かたむけ た それだけに みみ を かたむけ た
soredakeni Mimi wo Katamuke ta soredakeni Mimi wo Katamuke ta
大きな救急車が扉を広く開けて待ち構え続けている
おおき な きゅうきゅうしゃ が とびら を ひろく ひらけ て まちかまえ つづけ ている
Ooki na Kyuukyuusha ga Tobira wo Hiroku Hirake te Machikamae Tsuzuke teiru
担架に乗り 肩にかつがれ 白い姿の人々が運び出される
たんか に のり かた にかつがれ しろい すがた の ひとびと が はこび ださ れる
Tanka ni Nori Kata nikatsugare Shiroi Sugata no Hitobito ga Hakobi Dasa reru
日本人が救けられましたと 興奮したリポート
にほんじん が きゅう けられましたと こうふん した りぽーと
Nihonjin ga Kyuu keraremashitato Koufun shita ripo^to
ディレクターの声もエンジニアの声もいり混じっている
でぃれくたー の こえ も えんじにあ の こえ もいり まじ っている
direkuta^ no Koe mo enjinia no Koe moiri Maji tteiru
人質が手を振っています元気そうです笑顔ですと
ひとじち が て を ふって います げんき そうです えがお ですと
Hitojichi ga Te wo Futte imasu Genki soudesu Egao desuto
リポートは続けられている
りぽーと は つづけ られている
ripo^to ha Tsuzuke rareteiru
その時ひとかたまりの黒い姿の人々が担架を囲んでとび出して来る
その とき ひとかたまりの くろい すがた の ひとびと が たんか を かこん でとび だし て くる
sono Toki hitokatamarino Kuroi Sugata no Hitobito ga Tanka wo Kakon detobi Dashi te Kuru
リポーターは日本人が手を振っていますとだけ嬉々として語り続ける
りぽーたー は にほんじん が て を ふって いますとだけ き として かたり つづけ る
ripo^ta^ ha Nihonjin ga Te wo Futte imasutodake Ki toshite Katari Tsuzuke ru
担架の上には黒く煤けた兵士
たんか の うえに は くろく すすけ た へいし
Tanka no Ueni ha Kuroku Susuke ta Heishi
腕は担架からぶら下がり 足首がグラグラと揺れる
うで は たんか からぶら さが り あしくび が ぐらぐら と ゆれ る
Ude ha Tanka karabura Saga ri Ashikubi ga guragura to Yure ru
兵士の胸元に赤いしみが広がる
へいし の むなもと に あかい しみが ひろが る
Heishi no Munamoto ni Akai shimiga Hiroga ru
兵士の肩に彼の銃が ためらいがちに仲間によって載せられる
へいし の かた に かの じゅう が ためらいがちに なかま によって のせ られる
Heishi no Kata ni Kano Juu ga tameraigachini Nakama niyotte Nose rareru
担架はそれきり全速力でいずこかへと運び出されてゆく
たんか はそれきり ぜんそくりょく でいずこかへと はこび ださ れてゆく
Tanka hasorekiri Zensokuryoku deizukokaheto Hakobi Dasa reteyuku
日本人が元気に手を振っていますとリポーターは興奮して伝え続ける
にほんじん が げんき に て を ふって いますと りぽーたー は こうふん して つたえ つづけ る
Nihonjin ga Genki ni Te wo Futte imasuto ripo^ta^ ha Koufun shite Tsutae Tsuzuke ru
黒い蟻のようなあの1人の兵士のことは
くろい あり のようなあの 1 にん の へいし のことは
Kuroi Ari noyounaano 1 Nin no Heishi nokotoha
ひと言も触れない ひと言も触れない
ひと げん も ふれな い ひと げん も ふれな い
hito Gen mo Furena i hito Gen mo Furena i
日本人の家族たちを喜ばせるためのリポートは 切れることなく続く
にほんじん の かぞく たちを よろこば せるための りぽーと は きれ ることなく つづく
Nihonjin no Kazoku tachiwo Yorokoba serutameno ripo^to ha Kire rukotonaku Tsuzuku
しかしあの兵士にも父も母も妻も子もあるのではなかったろうか
しかしあの へいし にも ちち も はは も つま も こ もあるのではなかったろうか
shikashiano Heishi nimo Chichi mo Haha mo Tsuma mo Ko moarunodehanakattarouka
蟻のように真っ黒に煤けた彼にも 真っ黒に煤けた彼にも
あり のように まっくろ に すすけ た かれ にも まっくろ に すすけ た かれ にも
Ari noyouni Makkuro ni Susuke ta Kare nimo Makkuro ni Susuke ta Kare nimo
あの国の人たちの正しさを ここにいる私は測り知れない
あの くに の にん たちの ただし さを ここにいる わたし は はかり しれ ない
ano Kuni no Nin tachino Tadashi sawo kokoniiru Watashi ha Hakari Shire nai
あの国の戦いの正しさを ここにいる私には測り知れない
あの くに の たたかい の ただし さを ここにいる わたし には はかり しれ ない
ano Kuni no Tatakai no Tadashi sawo kokoniiru Watashi niha Hakari Shire nai
しかし見知らぬ日本人の無事を喜ぶ心がある人たちが何故
しかし みしら ぬ にほんじん の ぶじ を よろこぶ こころ がある にん たちが なぜ
shikashi Mishira nu Nihonjin no Buji wo Yorokobu Kokoro gaaru Nin tachiga Naze
救け出してくれた 見知らぬ人には心を払うことがないのだろう
きゅう け だし てくれた みしら ぬ にん には こころ を はらう ことがないのだろう
Kyuu ke Dashi tekureta Mishira nu Nin niha Kokoro wo Harau kotoganainodarou
この国は危い
この くに は あぶない
kono Kuni ha Abunai
何度でも同じあやまちを繰り返すだろう 平和を望むと言いながらも
なんど でも おなじ あやまちを くりかえす だろう へいわ を のぞむ と いい ながらも
Nando demo Onaji ayamachiwo Kurikaesu darou Heiwa wo Nozomu to Ii nagaramo
日本と名の付いていないものにならば
にっぽん と めい の つい ていないものにならば
Nippon to Mei no Tsui teinaimononinaraba
いくらだって冷たくなれるのだろう
いくらだって つめた くなれるのだろう
ikuradatte Tsumeta kunarerunodarou
慌てた時に 人は正体を顕わすね
あわて た ときに にん は しょうたい を けん わすね
Awate ta Tokini Nin ha Shoutai wo Ken wasune
あの国の中で事件は終わり
あの くに の なか で じけん は おわり
ano Kuni no Naka de Jiken ha Owari
私の中ではこの国への怖れが 黒い炎を噴きあげはじめた
わたし の なか ではこの くに への おそれ が くろい ほのお を ふき あげはじめた
Watashi no Naka dehakono Kuni heno Osore ga Kuroi Honoo wo Fuki agehajimeta
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日本人の人質は全員が無事
にほんじん の ひとじち は ぜんいん が ぶじ
Nihonjin no Hitojichi ha Zen\'in ga Buji
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