枯れた庭の隅蝶を追いかける
かれ た にわ の すみ ちょう を おい かける
Kare ta Niwa no Sumi Chou wo Oi kakeru
黒い猫と白銀(しろがね)瞳の少女
くろい ねこ と はくぎん ( しろがね ) ひとみ の しょうじょ
Kuroi Neko to Hakugin ( shirogane ) Hitomi no Shoujo
蜜を探し疲れ羽を癒やしに
みつ を さがし つかれ はね を ゆ やしに
Mitsu wo Sagashi Tsukare Hane wo Yu yashini
舞い降りた蔦の這う屋敷の窓
まい おり た つた の はう やしき の まど
Mai Ori ta Tsuta no Hau Yashiki no Mado
灯りの消えた薄暗い部屋
あかり の きえ た うすぐらい へや
Akari no Kie ta Usugurai Heya
薔薇が落ちていた
ばら が おち ていた
Bara ga Ochi teita
遊び疲れ少女と猫は
あそび つかれ しょうじょ と ねこ は
Asobi Tsukare Shoujo to Neko ha
屋敷に戻り
やしき に もどり
Yashiki ni Modori
母親の姿を探せど
ははおや の すがた を さがせ ど
Hahaoya no Sugata wo Sagase do
嗚呼、何処にも居ない
ああ 、 どこ にも いな い
Aa 、 Doko nimo Ina i
火の気のない暖炉のそばで
ひ の きの ない だんろ のそばで
Hi no Kino nai Danro nosobade
疲れて眠る少女
つかれ て ねむる しょうじょ
Tsukare te Nemuru Shoujo
猫が悲しそうに鳴いた
ねこ が かなし そうに ない た
Neko ga Kanashi souni Nai ta
ある日少女と猫はついに見つけた
ある にち しょうじょ と ねこ はついに みつ けた
aru Nichi Shoujo to Neko hatsuini Mitsu keta
屋敷の奥錆びついた扉の部屋
やしき の おく さび ついた とびら の へや
Yashiki no Oku Sabi tsuita Tobira no Heya
蜘蛛の巣が揺れるフリル天蓋の
くものす が ゆれ る ふりる てんがい の
Kumonosu ga Yure ru furiru Tengai no
ベッドに沈んで母親は寝ていた
べっど に しずん で ははおや は ねて いた
beddo ni Shizun de Hahaoya ha Nete ita
喜んだ少女駆け寄ると胸で
よろこんだ しょうじょ かけ よる と むね で
Yorokonda Shoujo Kake Yoru to Mune de
薔薇が枯れていた
ばら が かれ ていた
Bara ga Kare teita
ママどうしてお胸が赤いの
まま どうしてお むね が あかい の
mama doushiteo Mune ga Akai no
ねぇ薔薇のよう
ねぇ ばら のよう
nee Bara noyou
ママわたしはお腹がすいたの
まま わたしはお はら がすいたの
mama watashihao Hara gasuitano
ねぇ起きてよママ
ねぇ おき てよ まま
nee Oki teyo mama
少女の運命を嘆いて
しょうじょ の うんめい を なげい て
Shoujo no Unmei wo Nagei te
母親は命絶った
ははおや は いのち ぜっった
Hahaoya ha Inochi Zetsutta
猫が寂しそうに鳴いた
ねこ が さびし そうに ない た
Neko ga Sabishi souni Nai ta
"絶望が生への執着を露呈させる
" ぜつぼう が なま への しゅうちゃく を ろてい させる
" Zetsubou ga Nama heno Shuuchaku wo Rotei saseru
私は生きているの？ 私は死んでいるの？
わたし は いき ているの ？ わたし は しん でいるの ？
Watashi ha Iki teiruno ？ Watashi ha Shin deiruno ？
ここにいるのは本当の私？
ここにいるのは ほんとう の わたし ？
kokoniirunoha Hontou no Watashi ？
私は闇 私は光
わたし は やみ わたし は ひかり
Watashi ha Yami Watashi ha Hikari
私は風 私は誰
わたし は かぜ わたし は だれ
Watashi ha Kaze Watashi ha Dare
痛みだけが私の存在を証明する"
いたみ だけが わたし の そんざい を しょうめいす る "
Itami dakega Watashi no Sonzai wo Shoumeisu ru "
ママお庭に薔薇が咲いたわ
まま お にわ に ばら が さい たわ
mama o Niwa ni Bara ga Sai tawa
ねぇ綺麗でしょ
ねぇ きれい でしょ
nee Kirei desho
ママ私は独りじゃないわ
まま わたし は ひとり じゃないわ
mama Watashi ha Hitori janaiwa
ねぇ平気よママ
ねぇ へいき よ まま
nee Heiki yo mama
朽ちた屋敷永遠を生きる
くち た やしき えいえん を いき る
Kuchi ta Yashiki Eien wo Iki ru
少女のそばに
しょうじょ のそばに
Shoujo nosobani
白銀(しろがね)の瞳を細めて
はくぎん ( しろがね ) の ひとみ を ほそめ て
Hakugin ( shirogane ) no Hitomi wo Hosome te
黒猫は寄り添って
くろねこ は よりそって
Kuroneko ha Yorisotte
甘えるように鳴いた
あまえ るように ない た
Amae ruyouni Nai ta