「ようこそ、七人目の美しき少女。ふふっ。さ、踊りなさいな?」
「 ようこそ 、 しちにん めの うつくし き しょうじょ 。 ふふっ 。 さ 、 おどり なさいな ?」
「 youkoso 、 Shichinin Meno Utsukushi ki Shoujo 。 fufutsu 。 sa 、 Odori nasaina ?」
「そして始まる、晩餐会。
「 そして はじま る 、 ばんさんかい 。
「 soshite Hajima ru 、 Bansankai 。
幸せそうに、皆口々に魔女を称えながら。
しあわせ そうに 、 みなぐち に まじょ を となえ ながら 。
Shiawase souni 、 Minaguchi ni Majo wo Tonae nagara 。
けれど、みなどこか空ろな目をしていて。」
けれど 、 みなどこか そら ろな め をしていて 。」
keredo 、 minadokoka Sora rona Me woshiteite 。」
「(何なのこれは……胸がざわつく。こんな事が……許されていいの?)」
「 ( なに なのこれは …… むね がざわつく 。 こんな こと が …… ゆるさ れていいの ? ) 」
「 ( Nani nanokoreha …… Mune gazawatsuku 。 konna Koto ga …… Yurusa reteiino ? ) 」
「心のどこかに巣くう弱音を噛み潰しながら、ミリリは立ち上がる。」
「 こころ のどこかに すくう よわね を かみ つぶし ながら 、 みりり は たちあが る 。」
「 Kokoro nodokokani Sukuu Yowane wo Kami Tsubushi nagara 、 miriri ha Tachiaga ru 。」
「論戦にも成り得ない拙い感情の吐露。興味深げに応じる魔女。」
「 ろんせん にも なり えな い つたない かんじょう の とろ 。 きょうみ しん げに おうじ る まじょ 。」
「 Ronsen nimo Nari Ena i Tsutanai Kanjou no Toro 。 Kyoumi Shin geni Ouji ru Majo 。」
「――それは、彼女の最後の抵抗。」
「―― それは 、 かのじょ の さいご の ていこう 。」
「―― soreha 、 Kanojo no Saigo no Teikou 。」
ねえ貴女 その両手がどれほどの血に塗れているのか
ねえ あなた その りょうて がどれほどの ち に ぬれ ているのか
nee Anata sono Ryoute gadorehodono Chi ni Nure teirunoka
省みることはないの その蛮行(おこない) を
かえりみ ることはないの その ばんこう ( おこない ) を
Kaerimi rukotohanaino sono Bankou ( okonai ) wo
何を今更 魔女は嗤う
なにを いまさら まじょ は し う
Naniwo Imasara Majo ha Shi u
この手がどれほど穢れようとも
この てが どれほど けがれ ようとも
kono Tega dorehodo Kegare youtomo
この美は欠片ほども損なわれないと
この び は けつ へん ほども そこな われないと
kono Bi ha Ketsu Hen hodomo Sokona warenaito
ねえ貴女 この娘(こ)達が貴女にどれほど傷つけられたか
ねえ あなた この むすめ ( こ ) たち が あなた にどれほど きずつ けられたか
nee Anata kono Musume ( ko ) Tachi ga Anata nidorehodo Kizutsu keraretaka
何も言うことはないの その陵辱(おこない)に
なにも いう ことはないの その りょう じょく ( おこない ) に
Nanimo Iu kotohanaino sono Ryou Joku ( okonai ) ni
何を愚かな 魔女は嗤う
なにを おろか な まじょ は し う
Naniwo Oroka na Majo ha Shi u
その美が堕すのに比べるならば、
その び が だ すのに くらべ るならば 、
sono Bi ga Da sunoni Kurabe runaraba 、
これらの幸せなど疑いようは無いと
これらの しあわせ など うたがい ようは ない と
korerano Shiawase nado Utagai youha Nai to
神に見出された私の正義(ことば)の前には
かみ に みださ れた わたし の せいぎ ( ことば ) の まえ には
Kami ni Midasa reta Watashi no Seigi ( kotoba ) no Mae niha
お前の偽善(ことば)など児戯に等しいと知れ
お まえ の ぎぜん ( ことば ) など じぎ に ひとしい と しれ
o Mae no Gizen ( kotoba ) nado Jigi ni Hitoshii to Shire
負けるな 己を保て
まけ るな おのれ を たもて
Make runa Onore wo Tamote
この狂気の沙汰に呑み込まれなどしないと
この きょうき の さた に のみ こま れなどしないと
kono Kyouki no Sata ni Nomi Koma renadoshinaito
歪みきった世界の主は ただ嗤うばかりで――
ひずみ きった せかい の しゅ は ただ し うばかりで ――
Hizumi kitta Sekai no Shu ha tada Shi ubakaride ――
「拙い応酬の間にも、宴は続いていく。
「 つたない おうしゅう の まに も 、 うたげ は つづい ていく 。
「 Tsutanai Oushuu no Mani mo 、 Utage ha Tsuzui teiku 。
冷笑。失笑。憐憫。侮蔑。猜疑。軽蔑。
れいしょう 。 しっしょう 。 れんびん 。 ぶべつ 。 さいぎ 。 けいべつ 。
Reishou 。 Shisshou 。 Renbin 。 Bubetsu 。 Saigi 。 Keibetsu 。
少女達からミリリへと向けられる、ありとあらゆる負の感情を孕んだ視線」
しょうじょたち から みりり へと むけ られる 、 ありとあらゆる ふ の かんじょう を よう んだ しせん 」
Shoujotachi kara miriri heto Muke rareru 、 aritoarayuru Fu no Kanjou wo You nda Shisen 」
「たまらずミリリは叫びかける。」
「 たまらず みりり は さけび かける 。」
「 tamarazu miriri ha Sakebi kakeru 。」
「どうして、ねぇ、どうして!あなたたちも昔はこうじゃなかったはずなのに!
「 どうして 、 ねぇ 、 どうして ! あなたたちも むかし はこうじゃなかったはずなのに !
「 doushite 、 nee 、 doushite ! anatatachimo Mukashi hakoujanakattahazunanoni !
この魔女の言うことが……本当に正しいっていうの!?」
この まじょ の いう ことが …… ほんとう に ただし いっていうの !? 」
kono Majo no Iu kotoga …… Hontou ni Tadashi itteiuno !? 」
「悲痛なその声に応えるものは、誰一人として、いなかった。」
「 ひつう なその こえ に こたえ るものは 、 だれひとり として 、 いなかった 。」
「 Hitsuu nasono Koe ni Kotae rumonoha 、 Darehitori toshite 、 inakatta 。」
暗い闇の底を覗き込む
くらい やみ の そこ を のぞき こむ
Kurai Yami no Soko wo Nozoki Komu
呆然として ただ立ち尽くす
ぼうぜん として ただ たち つくす
Bouzen toshite tada Tachi Tsukusu
私だけが道化のように滑稽な有様で
わたし だけが どうけ のように こっけい な ありさま で
Watashi dakega Douke noyouni Kokkei na Arisama de
誰も手など差し伸べてはくれなかった
だれも てな ど さし のべ てはくれなかった
Daremo Tena do Sashi Nobe tehakurenakatta
――だけど
―― だけど
―― dakedo
……負けたくない 認めたくない
…… まけ たくない みとめ たくない
…… Make takunai Mitome takunai
歪な幸せを 吐き戻そうと頑なに
ひずな しあわせ を はき もどそ うと かたくな に
Hizuna Shiawase wo Haki Modoso uto Katakuna ni
けれど 紡ぐ言葉の全てが
けれど つむぐ ことば の すべて が
keredo Tsumugu Kotoba no Subete ga
力なく消えていく
ちから なく きえ ていく
Chikara naku Kie teiku
朽ちた眼窩は 何も語らず
くち た がんか は なにも かたら ず
Kuchi ta Ganka ha Nanimo Katara zu
宴の一席に据え置かれた亡骸
うたげ の いっせき に すえおか れた ぼう むくろ
Utage no Isseki ni Sueoka reta Bou Mukuro
何の為の罪の贖いか?
なんの ための つみ の あがない か ?
Nanno Tameno Tsumi no Aganai ka ?
何も赦されはしない
なにも ゆるさ れはしない
Nanimo Yurusa rehashinai
錯綜するエゴの仮託
さくそう する えご の かたく
Sakusou suru ego no Kataku
生きるのか 朽ちるべきか
いき るのか くち るべきか
Iki runoka Kuchi rubekika
正しいのは私だ とも もはや信じることさえ出来なくなって ah...
ただし いのは わたし だ とも もはや しんじ ることさえ できな くなって ah...
Tadashi inoha Watashi da tomo mohaya Shinji rukotosae Dekina kunatte ah...