「----葬列。並ぶ者の居ない、闃寂の空間。参列者は、たった独り。
「 ---- そうれつ 。 ならぶ もの の いな い 、 げき じゃく の くうかん 。 さんれつしゃ は 、 たった ひとり 。
「 ---- Souretsu 。 Narabu Mono no Ina i 、 Geki Jaku no Kuukan 。 Sanretsusha ha 、 tatta Hitori 。
孤独な少女は回想する。共に過ごした美しい思い出の、その全てを。
こどく な しょうじょ は かいそう する 。 ともに すご した うつくし い おもいで の 、 その すべて を 。
Kodoku na Shoujo ha Kaisou suru 。 Tomoni Sugo shita Utsukushi i Omoide no 、 sono Subete wo 。
彼女は笑いながら呪う。忌まわしい世界に向けた、底なしの悪意。
かのじょ は わらい ながら のろう 。 いま わしい せかい に むけ た 、 そこなし の あくい 。
Kanojo ha Warai nagara Norou 。 Ima washii Sekai ni Muke ta 、 Sokonashi no Akui 。
……少女の纏う、黒紫の影がざわめきだした----」
…… しょうじょ の まとう 、 くろ むらさき の かげ がざわめきだした ---- 」
…… Shoujo no Matou 、 Kuro Murasaki no Kage gazawamekidashita ---- 」
響き渡る
ひびき わたる
Hibiki Wataru
それは欷歔の声
それは き きょ の こえ
soreha Ki Kyo no Koe
吹き晒す風に乗せ
ふき さらす かぜ に のせ
Fuki Sarasu Kaze ni Nose
猶も届きはしない
ゆう も とどき はしない
Yuu mo Todoki hashinai
身に纏う
みに まとう
Mini Matou
無数の「声」が
むすう の 「 こえ 」 が
Musuu no 「 Koe 」 ga
黒紫の装束となって
くろ むらさき の しょうぞく となって
Kuro Murasaki no Shouzoku tonatte
信じるべきものを告げている
しんじ るべきものを つげ ている
Shinji rubekimonowo Tsuge teiru
何を愛し
なにを いとし
Naniwo Itoshi
何を呪う
なにを のろう
Naniwo Norou
何を許し
なにを ゆるし
Naniwo Yurushi
何を憎む
なにを にくむ
Naniwo Nikumu
全てその内に
すべて その ない に
Subete sono Nai ni
沈む影の中に幾重に
しずむ かげ の なかに いくえ に
Shizumu Kage no Nakani Ikue ni
渦巻かせる呪いと愛だけ
うずまき かせる のろい と めだ け
Uzumaki kaseru Noroi to Meda ke
けして満たされぬその姿
けして みた されぬその すがた
keshite Mita sarenusono Sugata
未だ不完全な魔女(riflydia)
いまだ ふかんぜん な まじょ (riflydia)
Imada Fukanzen na Majo (riflydia)
その声は空虚なほどに
その こえ は くうきょ なほどに
sono Koe ha Kuukyo nahodoni
歪にして気高き覚悟を
ひずに して けたか き かくご を
Hizuni shite Ketaka ki Kakugo wo
無貌無尽--“己”は誰かいつか喪う定めでも
む ぼう むじん -- “ おのれ ” は だれか いつか も う さだめ でも
Mu Bou Mujin -- “ Onore ” ha Dareka itsuka Mo u Sadame demo
その無数の命もて
その むすう の いのち もて
sono Musuu no Inochi mote
その無限の命もて
その むげん の いのち もて
sono Mugen no Inochi mote
天の巡るまで
てん の めぐる まで
Ten no Meguru made
許しを乞い続ける声
ゆるし を こい つづけ る こえ
Yurushi wo Koi Tsuzuke ru Koe
この影の中で けして解放たれること無く
この かげ の なか で けして かいほう たれること なく
kono Kage no Naka de keshite Kaihou tarerukoto Naku
犯した罪を嘆く声
おかし た つみ を なげく こえ
Okashi ta Tsumi wo Nageku Koe
この影の中で 永久にその罪 贖い続けよ
この かげ の なか で えいきゅう にその つみ あがない つづけ よ
kono Kage no Naka de Eikyuu nisono Tsumi Aganai Tsuzuke yo
その運命に涙する声
その うんめい に なみだ する こえ
sono Unmei ni Namida suru Koe
この影の中で その涙を祈りとするがいい
この かげ の なか で その なみだ を いのり とするがいい
kono Kage no Naka de sono Namida wo Inori tosurugaii
終わらぬ生獄(いのち)呪う声
おわ らぬ なま ごく ( いのち ) のろう こえ
Owa ranu Nama Goku ( inochi ) Norou Koe
この影の中で 私の一部となって生きよと
この かげ の なか で わたし の いちぶ となって いき よと
kono Kage no Naka de Watashi no Ichibu tonatte Iki yoto
共に産まれ されど倦まれ
ともに うま れ されど うま れ
Tomoni Uma re saredo Uma re
戯れに選ばれたのは
たわむれ に えらば れたのは
Tawamure ni Eraba retanoha
下らぬ神の悪戯で終わらせない
くだら ぬ かみ の いたずら で おわ らせない
Kudara nu Kami no Itazura de Owa rasenai
そう、誓う--。
そう 、 ちかう -- 。
sou 、 Chikau -- 。
その罪人(いのち)も
その ざいにん ( いのち ) も
sono Zainin ( inochi ) mo
その咎人(いのち)も
その とが にん ( いのち ) も
sono Toga Nin ( inochi ) mo
その凶人(いのち)も
その きょう にん ( いのち ) も
sono Kyou Nin ( inochi ) mo
その禍人(いのち)も
その か にん ( いのち ) も
sono Ka Nin ( inochi ) mo
そう 全て愛しき片割(リフル)の為にと 嗚呼。
そう すべて いとし き へん わり ( りふる ) の ために と ああ 。
sou Subete Itoshi ki Hen Wari ( rifuru ) no Tameni to Aa 。
愚直なまでにただ一心に
ぐちょく なまでにただ いっしん に
Guchoku namadenitada Isshin ni
愛深きが故に貪欲に
あい ふかき が ゆえに どんよく に
Ai Fukaki ga Yueni Donyoku ni
けして満たされぬその景色
けして みた されぬその けしき
keshite Mita sarenusono Keshiki
未だ未完成な理想郷(utopia)
いまだ みかんせい な りそうきょう (utopia)
Imada Mikansei na Risoukyou (utopia)
ならけして滅びぬようにと
ならけして ほろび ぬようにと
narakeshite Horobi nuyounito
その罪咎凶禍(いのち)をこの身に束ねて
その つみ とが きょう か ( いのち ) をこの みに たばね て
sono Tsumi Toga Kyou Ka ( inochi ) wokono Mini Tabane te
無暁無屈--“己” は誰かいつか喪う覚悟でも
む あかつき む くつ -- “ おのれ ” は だれか いつか も う かくご でも
Mu Akatsuki Mu Kutsu -- “ Onore ” ha Dareka itsuka Mo u Kakugo demo
その無数の命もて
その むすう の いのち もて
sono Musuu no Inochi mote
その無限の命もて
その むげん の いのち もて
sono Mugen no Inochi mote
天の巡るまで
てん の めぐる まで
Ten no Meguru made
しかるに分かたれた命
しかるに わか たれた いのち
shikaruni Waka tareta Inochi
その思いに涙して
その おもい に なみだ して
sono Omoi ni Namida shite
吼え猛る----ああ!
こう え たける ---- ああ !
Kou e Takeru ---- aa !
「少女は膝をつく。けれど、その心は決して折れない。
「 しょうじょ は ひざ をつく 。 けれど 、 その こころは けっして おれ ない 。
「 Shoujo ha Hiza wotsuku 。 keredo 、 sono Kokoroha Kesshite Ore nai 。
それは、最も愛深きが故に、最も貪欲。後にそう伝えられる、第四の魔女“リディア”の姿----」
それは 、 もっとも あい ふかき が ゆえに 、 もっとも どんよく 。 のちに そう つたえ られる 、 だいよん の まじょ “ りでぃあ ” の すがた ---- 」
soreha 、 Mottomo Ai Fukaki ga Yueni 、 Mottomo Donyoku 。 Nochini sou Tsutae rareru 、 Daiyon no Majo “ ridia ” no Sugata ---- 」
「いつか、彼女は帰ってくる----決して潰えることなきその幻想を胸に。
「 いつか 、 かのじょ は かえって くる ---- けっして ついえ ることなきその げんそう を むね に 。
「 itsuka 、 Kanojo ha Kaette kuru ---- Kesshite Tsuie rukotonakisono Gensou wo Mune ni 。
少女は生きる。生きて、生き続ける。
しょうじょ は いき る 。 いき て 、 いきつづけ る 。
Shoujo ha Iki ru 。 Iki te 、 Ikitsuzuke ru 。
----いつまでも。世界が終焉するその時まで」
---- いつまでも 。 せかい が しゅうえん するその とき まで 」
---- itsumademo 。 Sekai ga Shuuen surusono Toki made 」