「こんばんは、フィーナ。」
「 こんばんは 、 ふぃーな 。」
「 konbanha 、 fi^na 。」
「……誰?」
「…… だれ ?」
「…… Dare ?」
「私はメイメイ。貴女を救いにきたの。」
「 わたし は めいめい 。 あなた を すくい にきたの 。」
「 Watashi ha meimei 。 Anata wo Sukui nikitano 。」
「貴女に見せてあげる。"今"の貴女が、
「 あなた に みせ てあげる 。 " いま " の あなた が 、
「 Anata ni Mise teageru 。 " Ima " no Anata ga 、
これからどんな運命を辿るはずだったのかを」
これからどんな うんめい を たどる はずだったのかを 」
korekaradonna Unmei wo Tadoru hazudattanokawo 」
「メイメイは語りかける。かつて語られなかった、最も最悪の可能性。」
「 めいめい は かたり かける 。 かつて かたら れなかった 、 もっとも さいあく の かのうせい 。」
「 meimei ha Katari kakeru 。 katsute Katara renakatta 、 Mottomo Saiaku no Kanousei 。」
「メイメイは語りかける。残酷な運命。その全てを見通したモノの目で。」
「 めいめい は かたり かける 。 ざんこく な うんめい 。 その すべて を みとおし た もの の めで 。」
「 meimei ha Katari kakeru 。 Zankoku na Unmei 。 sono Subete wo Mitooshi ta mono no Mede 。」
「メイメイは語りかける。フィーナの意志など存在しない、一方的な救済。」
「 めいめい は かたり かける 。 ふぃーな の いし など そんざい しない 、 いっぽうてき な きゅうさい 。」
「 meimei ha Katari kakeru 。 fi^na no Ishi nado Sonzai shinai 、 Ippouteki na Kyuusai 。」
「メイメイは語りかける。その美しい魂の色、損なわれぬよう。」
「 めいめい は かたり かける 。 その うつくし い たましい の しょく 、 そこな われぬよう 。」
「 meimei ha Katari kakeru 。 sono Utsukushi i Tamashii no Shoku 、 Sokona warenuyou 。」
「これは誰……?まさか……私?」
「 これは だれ ……? まさか …… わたし ?」
「 koreha Dare ……? masaka …… Watashi ?」
捻くれた螺旋―― ――運命の神はかくも厳し
ねん くれた らせん ―― ―― うんめい の かみ はかくも きびし
Nen kureta Rasen ―― ―― Unmei no Kami hakakumo Kibishi
赦された罪過―― ――生きることだけを考えよ
ゆるさ れた つみ か ―― ―― いき ることだけを かんがえ よ
Yurusa reta Tsumi Ka ―― ―― Iki rukotodakewo Kangae yo
終り無き夢想―― ――いつか生まれ来る君を信じ
おわり なき むそう ―― ―― いつか うまれ くる くん を しんじ
Owari Naki Musou ―― ―― itsuka Umare Kuru Kun wo Shinji
慎ましき日々―― ――そこに来る悪夢の使者
つつしま しき ひび ―― ―― そこに くる あくむ の ししゃ
Tsutsushima shiki Hibi ―― ―― sokoni Kuru Akumu no Shisha
こちらに向ける目が 哀れそうに私を射抜いて
こちらに むけ る め が あわれ そうに わたし を しゃ ぬい て
kochirani Muke ru Me ga Aware souni Watashi wo Sha Nui te
発せられる言葉が 残酷な運命を告げる
はっせ られる ことば が ざんこく な うんめい を つげ る
Hasse rareru Kotoba ga Zankoku na Unmei wo Tsuge ru
小さな鏡が 映し出した見知らぬ光景
ちいさ な かがみ が うつし だし た みしら ぬ こうけい
Chiisa na Kagami ga Utsushi Dashi ta Mishira nu Koukei
見慣れぬ誰かが “何か”を抱いて泣いていた……
みなれ ぬ だれか が “ なにか ” を だい て ない ていた ……
Minare nu Dareka ga “ Nanika ” wo Dai te Nai teita ……
醜い魂に価値などないと吐き棄てて
みにくい たましい に かち などないと はき すて て
Minikui Tamashii ni Kachi nadonaito Haki Sute te
指し示すその姿は
さししめす その すがた は
Sashishimesu sono Sugata ha
見てはならない凄惨な赤(いろ)を帯びていた――
みて はならない せいさん な あか ( いろ ) を おび ていた ――
Mite hanaranai Seisan na Aka ( iro ) wo Obi teita ――
響く叫び声 只一つの名前
ひびく さけび こえ ただ ひとつ の なまえ
Hibiku Sakebi Koe Tada Hitotsu no Namae
かつて描いたそれを彼女は呼び続けていた
かつて えがい たそれを かのじょ は よび つづけ ていた
katsute Egai tasorewo Kanojo ha Yobi Tsuzuke teita
生まれた時にはと 心に決めていた
うまれ た ときに はと こころ に きめ ていた
Umare ta Tokini hato Kokoro ni Kime teita
わが子の名前が刻まれたひとつの瑕
わが こ の なまえ が きざま れたひとつの きず
waga Ko no Namae ga Kizama retahitotsuno Kizu
何度も何度もその名を呼ぶは
なんど も なんど もその めい を よぶ は
Nando mo Nando mosono Mei wo Yobu ha
壊れかけの機械のようで
こわれ かけの きかい のようで
Koware kakeno Kikai noyoude
何度も何度もその名を呼ぶは
なんど も なんど もその めい を よぶ は
Nando mo Nando mosono Mei wo Yobu ha
それが愛しきもの故
それが いとし きもの ゆえ
sorega Itoshi kimono Yue
「そんな……あれは、私。じゃあ、あの子がエフティヒア……。
「 そんな …… あれは 、 わたし 。 じゃあ 、 あの こ が えふてぃひあ ……。
「 sonna …… areha 、 Watashi 。 jaa 、 ano Ko ga efuteihia ……。
そんな……だって、死んでるじゃない……!」
そんな …… だって 、 しん でるじゃない ……!」
sonna …… datte 、 Shin derujanai ……!」
凡そ己とは 認められようもない姿に
ぼん そ おのれ とは みとめ られようもない すがた に
Bon so Onore toha Mitome rareyoumonai Sugata ni
たまらずフィーナは 呆然として膝をついた
たまらず ふぃーな は ぼうぜん として ひざ をついた
tamarazu fi^na ha Bouzen toshite Hiza wotsuita
いくつもの世界を 垣間見選んだ筈の現実(せかい)に
いくつもの せかい を かいま けん えらん だ はず の げんじつ ( せかい ) に
ikutsumono Sekai wo Kaima Ken Eran da Hazu no Genjitsu ( sekai ) ni
どうしてこんな仕打ち 誰を呪えばいいのだろう
どうしてこんな しうち だれ を のろえ ばいいのだろう
doushitekonna Shiuchi Dare wo Noroe baiinodarou
響く無為な羽音が明日を呆気なく壊して
ひびく むい な はね おと が あした を あっけ なく こわし て
Hibiku Mui na Hane Oto ga Ashita wo Akke naku Kowashi te
その最後待っていたのが
その さいご まって いたのが
sono Saigo Matte itanoga
わが子を喪った私(ははおや)の姿か
わが こ を も った わたし ( ははおや ) の すがた か
waga Ko wo Mo tta Watashi ( hahaoya ) no Sugata ka
ねえお願いだから その目をあけてよ
ねえお ねがい だから その め をあけてよ
neeo Negai dakara sono Me woaketeyo
エフィー!嗚...まだ碌に抱きしめても
えふぃー ! お ... まだ ろくに だき しめても
efi^ ! O ... mada Rokuni Daki shimetemo
いなかったのに……
いなかったのに ……
inakattanoni ……
大切なモノを 奪われる未来に
たいせつ な もの を うばわ れる みらい に
Taisetsu na mono wo Ubawa reru Mirai ni
何の価値があるのかとただ自問し続けた
なんの かち があるのかとただ じもん し つづけ た
Nanno Kachi gaarunokatotada Jimon shi Tsuzuke ta
何度も何度も頭を振って
なんど も なんど も あたま を ふって
Nando mo Nando mo Atama wo Futte
必死に否定しようとするけど
ひっし に ひてい しようとするけど
Hisshi ni Hitei shiyoutosurukedo
何度も何度も蘇る光景
なんど も なんど も よみがえる こうけい
Nando mo Nando mo Yomigaeru Koukei
そして倒れ伏すフィーナ
そして たおれ ふす ふぃーな
soshite Taore Fusu fi^na
放棄せよ
ほうき せよ
Houki seyo
ただ嫌悪せよ
ただ けんお せよ
tada Ken\'o seyo
生を選び地を這うその姿
なま を えらび ち を はう その すがた
Nama wo Erabi Chi wo Hau sono Sugata
絶望せよ
ぜつぼう せよ
Zetsubou seyo
ただ恭順せよ
ただ きょうじゅん せよ
tada Kyoujun seyo
明日を選ぶことのないように
あした を えらぶ ことのないように
Ashita wo Erabu kotononaiyouni
その一切から目を逸らしても――
その いっさい から め を そら しても ――
sono Issai kara Me wo Sora shitemo ――
ねえもういいでしょう? 貴女の未来なんて
ねえもういいでしょう ? あなた の みらい なんて
neemouiideshou ? Anata no Mirai nante
こんなどうしようもない結末しか待っていないのだから
こんなどうしようもない けつまつ しか まって いないのだから
konnadoushiyoumonai Ketsumatsu shika Matte inainodakara
愛しているなら 死なせたくないなら
いとし ているなら しな せたくないなら
Itoshi teirunara Shina setakunainara
貴女の“選び取る”道など一つしかない
あなた の “ えらび とる ” みち など ひとつ しかない
Anata no “ Erabi Toru ” Michi nado Hitotsu shikanai
現実は虚ろ 告解の果てに
げんじつ は うつろ こっかい の はて に
Genjitsu ha Utsuro Kokkai no Hate ni
全て否定する 薬を一つ
すべて ひてい する くすり を ひとつ
Subete Hitei suru Kusuri wo Hitotsu
これで貴女も きっと幸せに
これで あなた も きっと しあわせ に
korede Anata mo kitto Shiawase ni
永遠の世界を歩もう――
えいえん の せかい を あゆも う ――
Eien no Sekai wo Ayumo u ――
「愛を注がれる間もなく、消えていく。そんな可能性は、
「 あい を そそが れる かん もなく 、 きえ ていく 。 そんな かのうせい は 、
「 Ai wo Sosoga reru Kan monaku 、 Kie teiku 。 sonna Kanousei ha 、
最初から生まれないほうがいい。そう思うでしょう?」
さいしょ から うまれ ないほうがいい 。 そう おもう でしょう ?」
Saisho kara Umare naihougaii 。 sou Omou deshou ?」
「大丈夫。全ては嫌な夢。忘れてしまえるからね?
「 だいじょうぶ 。 すべて は いやな ゆめ 。 わすれ てしまえるからね ?
「 Daijoubu 。 Subete ha Iyana Yume 。 Wasure teshimaerukarane ?
貴女はなーんにも心配しなくていいのよ」
あなた はなーんにも しんぱい しなくていいのよ 」
Anata hanannimo Shinpai shinakuteiinoyo 」
「さあ、目を覚ましなさい、フィーナ。」
「 さあ 、 め を さま しなさい 、 ふぃーな 。」
「 saa 、 Me wo Sama shinasai 、 fi^na 。」
「う…貴女は…誰…?」
「 う … あなた は … だれ …?」
「 u … Anata ha … Dare …?」
「知らないのも無理はないわ。私は、
「 しら ないのも むり はないわ 。 わたし は 、
「 Shira nainomo Muri hanaiwa 。 Watashi ha 、
貴女の遠い血縁にあたる者。
あなた の とおい けつえん にあたる もの 。
Anata no Tooi Ketsuen niataru Mono 。
倒れた貴女の様子を見ていたの。」
たおれ た あなた の ようす を みて いたの 。」
Taore ta Anata no Yousu wo Mite itano 。」
「これをお飲みなさい。今よりも、もっと、楽になれるわ…」
「 これをお のみ なさい 。 いま よりも 、 もっと 、 らく になれるわ …」
「 korewoo Nomi nasai 。 Ima yorimo 、 motto 、 Raku ninareruwa …」
「フィーナ。残酷な運命に翻弄された少女。
「 ふぃーな 。 ざんこく な うんめい に ほんろう された しょうじょ 。
「 fi^na 。 Zankoku na Unmei ni Honrou sareta Shoujo 。
そうしてあるときを境に、
そうしてあるときを さかい に 、
soushitearutokiwo Sakai ni 、
彼女の行方は誰も知ることはなかった――」
かのじょ の なめがた は だれも しる ことはなかった ――」
Kanojo no Namegata ha Daremo Shiru kotohanakatta ――」