「此の路や一体何所々々まで歩けば良いの」と呟けば
「 この みち や いったいなに ところどころ まで あるけ ば よい の 」 と つぶやけ ば
「 Kono Michi ya Ittainani Tokorodokoro made Aruke ba Yoi no 」 to Tsubuyake ba
「延々続きまするぞな」と――は、何方彼方の答やらな…
「 えんえん つづき まするぞな 」 と ―― は 、 どっち かなた の こたえ やらな …
「 En\'en Tsuzuki masuruzona 」 to ―― ha 、 Dotchi Kanata no Kotae yarana …
小さな行灯 片手に歩めば 「進むが好しや」と嗤い
ちいさ な あんどん かたて に あゆめ ば 「 すすむ が こう しや 」 と し い
Chiisa na Andon Katate ni Ayume ba 「 Susumu ga Kou shiya 」 to Shi i
揺・凛・弄(ゆらりんろう)と、さも蜻蛉と背中を圧す闇蟲が声
よう ・ りん ・ ろう ( ゆらりんろう ) と 、 さも とんぼ と せなか を おす やみ むし が こえ
You ・ Rin ・ Rou ( yurarinrou ) to 、 samo Tonbo to Senaka wo Osu Yami Mushi ga Koe
幾度と響く風の唄は敵か味方か、嗚呼果たして…
いくど と ひびく かぜ の うた は てき か みかた か 、 ああ はた して …
Ikudo to Hibiku Kaze no Uta ha Teki ka Mikata ka 、 Aa Hata shite …
深々月夜を 背負う何者か 「戻るは無しや」と嗤う
しん つきよ を せおう なにもの か 「 もどる は なし や 」 と し う
Shin Tsukiyo wo Seou Nanimono ka 「 Modoru ha Nashi ya 」 to Shi u
性悪共に誘われて、迷い込み踏み込んだは
せいあく ともに さそわ れて 、 まよいこみ ふみこん だは
Seiaku Tomoni Sasowa rete 、 Mayoikomi Fumikon daha
誰も知らぬ妖かしの土地、生きて還りたいならば
だれも しら ぬ よう かしの とち 、 いき て かん りたいならば
Daremo Shira nu You kashino Tochi 、 Iki te Kan ritainaraba
さあさ御出で、未だ抜けた者の居ない、此の森へ…
さあさ お いで 、 いまだ ぬけ た もの の いな い 、 この もり へ …
saasa O Ide 、 Imada Nuke ta Mono no Ina i 、 Kono Mori he …
触・夜・離(ざわりよろり)と、蠢く其れは正に人で無しものの声
しょく ・ よる ・ り ( ざわりよろり ) と 、 うごめく その れは まさに にん で なし ものの こえ
Shoku ・ Yoru ・ Ri ( zawariyorori ) to 、 Ugomeku Sono reha Masani Nin de Nashi monono Koe
何処かにて啼いた梟の、決して月如し眼に非ず…
どこ かにて てい いた ふくろう の 、 けっして がつ ごとし め に あらず …
Doko kanite Tei ita Fukurou no 、 Kesshite Gatsu Gotoshi Me ni Arazu …
お天道様さえ 見抜けぬ悪鬼の まこと無残な思惑
お てんどう さま さえ みぬけ ぬ あっき の まこと むざん な おもわく
o Tendou Sama sae Minuke nu Akki no makoto Muzan na Omowaku
物の怪らよ贄は揃うた、闇色を纏いて、さあ
もののけ らよ にえ は そろう た 、 やみ しょく を まとい て 、 さあ
Mononoke rayo Nie ha Sorou ta 、 Yami Shoku wo Matoi te 、 saa
誰も居らぬ妖かしの街、子供らの白き御魂
だれも いら ぬ よう かしの まち 、 こども らの しろき お たましい
Daremo Ira nu You kashino Machi 、 Kodomo rano Shiroki O Tamashii
さあさ連れて、逝くが良いよ、魑魅(すだま)の花一匁(はないちもんめ)…
さあさ つれ て 、 いく が よい よ 、 ちみ ( すだま ) の はな いち もんめ ( はないちもんめ ) …
saasa Tsure te 、 Iku ga Yoi yo 、 Chimi ( sudama ) no Hana Ichi Monme ( hanaichimonme ) …
――蝋燭吹消し げに悍(おぞま)しき 奇談に幕を下ろせば
―― ろうそく すい けし げに かん ( おぞま ) しき きだん に まく を くだろ せば
―― Rousoku Sui Keshi geni Kan ( ozoma ) shiki Kidan ni Maku wo Kudaro seba
怨みつらみを語り尽くす 禍々しき戯(あそ)びにて
うらみ つらみを かたり つくす か しき ぎ ( あそ ) びにて
Urami tsuramiwo Katari Tsukusu Ka shiki Gi ( aso ) binite
「百にはまだまだ足らぬぞ」と 囁く嗄れ声が
「 ひゃく にはまだまだ たら ぬぞ 」 と ささやく かれ こえ が
「 Hyaku nihamadamada Tara nuzo 」 to Sasayaku Kare Koe ga
君や私でない、としたならば、何ぞの物やらな…
くん や わたし でない 、 としたならば 、 なに ぞの もの やらな …
Kun ya Watashi denai 、 toshitanaraba 、 Nani zono Mono yarana …