練習生募集のチラシ握って玄関に立った男
れんしゅうせい ぼしゅう の ちらし にぎって げんかん に たった おとこ
Renshuusei Boshuu no chirashi Nigitte Genkan ni Tatta Otoko
年齢といい体格といい あまりに場違いで
ねんれい といい たいかく といい あまりに ばちがい で
Nenrei toii Taikaku toii amarini Bachigai de
困り顔のトレーナーは言った
こまり かお の とれーなー は いっった
Komari Kao no tore^na^ ha Itsutta
「人には向き不向きがあるものだ」
「 にん には むき ふむき があるものだ 」
「 Nin niha Muki Fumuki gaarumonoda 」
その日を境に一人のボクサーが生まれた
その にち を さかい に ひとり の ぼくさー が うまれ た
sono Nichi wo Sakai ni Hitori no bokusa^ ga Umare ta
一日の仕事終わって9時からすぐ練習
ついたち の しごと おわ って 9 とき からすぐ れんしゅう
Tsuitachi no Shigoto Owa tte 9 Toki karasugu Renshuu
足元もおぼつかずにサンドバッグに打たれている
あしもと もおぼつかずに さんどばっぐ に うた れている
Ashimoto moobotsukazuni sandobaggu ni Uta reteiru
隠しもせずみんな笑った
かくし もせずみんな わらった
Kakushi mosezuminna Waratta
「ほらほら クラゲのダンスだぜ」
「 ほらほら くらげ の だんす だぜ 」
「 horahora kurage no dansu daze 」
男は黙って通い続けた 毎日
おとこ は だまって かよい つづけ た まいにち
Otoko ha Damatte Kayoi Tsuzuke ta Mainichi
失うことを恐れて何も手にしてこなかった
うしなう ことを おそれ て なにも てに してこなかった
Ushinau kotowo Osore te Nanimo Teni shitekonakatta
いわばもう敗れたはずだ
いわばもう やぶれ たはずだ
iwabamou Yabure tahazuda
今更何を取り戻すのか
いまさら なにを とり もどす のか
Imasara Naniwo Tori Modosu noka
燃えてるんだかなんだか知らないが
もえ てるんだかなんだか しら ないが
Moe terundakanandaka Shira naiga
まるで道化じゃないか痛々しい
まるで どうけ じゃないか いたいたし い
marude Douke janaika Itaitashi i
やめろよ やめなって
やめろよ やめなって
yameroyo yamenatte
自問に対して自答するなら
じもん に たいし て じ こたえ するなら
Jimon ni Taishi te Ji Kotae surunara
一度限りなんだこの人生は
いちど かぎり なんだこの じんせい は
Ichido Kagiri nandakono Jinsei ha
何もなくていいはずないだろ
なにも なくていいはずないだろ
Nanimo nakuteiihazunaidaro
理由なんて探す暇あるなら
りゆう なんて さがす ひま あるなら
Riyuu nante Sagasu Hima arunara
右の拳をもっと深く打ちぬけ
みぎ の こぶし をもっと ふかく うち ぬけ
Migi no Kobushi womotto Fukaku Uchi nuke
練習用シューズのかかとのゴムもずいぶん減ったある日のこと
れんしゅうよう しゅーず のかかとの ごむ もずいぶん へった ある にち のこと
Renshuuyou shu^zu nokakatono gomu mozuibun Hetta aru Nichi nokoto
同じジムの有望株と試合を組むという
おなじ じむ の ゆうぼうかぶ と しあい を くむ という
Onaji jimu no Yuuboukabu to Shiai wo Kumu toiu
咬ませ犬ならまだマシだ
かま せ いぬ ならまだ まし だ
Kama se Inu naramada mashi da
「そろそろあきらめさせたほうがいい」
「 そろそろあきらめさせたほうがいい 」
「 sorosoroakiramesasetahougaii 」
それでも男は帰り道にガッツポーズ 何度も
それでも おとこ は かえりみち に がっつぽーず なんど も
soredemo Otoko ha Kaerimichi ni gattsupo^zu Nando mo
とうとうその日が来た 震えて仕方がなかった
とうとうその にち が きた ふるえ て しかた がなかった
toutousono Nichi ga Kita Furue te Shikata ganakatta
全ては分かってたはずだ
すべて は わか ってたはずだ
Subete ha Waka ttetahazuda
勝ち目はないぞ 笑われてるぞ
かちめ はないぞ わらわ れてるぞ
Kachime hanaizo Warawa reteruzo
ちぎれそうな心にバンテージ
ちぎれそうな こころ に ばんてーじ
chigiresouna Kokoro ni bante^ji
興味本位のギャラリー待つリングヘ
きょうみほんい の ぎゃらりー まつ りんぐへ
Kyoumihon\'i no gyarari^ Matsu ringuhe
目眩と恐怖 無情のゴングは鳴り響いた
め げん と きょうふ むじょう の ごんぐ は なり ひびい た
Me Gen to Kyoufu Mujou no gongu ha Nari Hibii ta
黒光りのグローブは容赦なく
くろびかり の ぐろーぶ は ようしゃ なく
Kurobikari no guro^bu ha Yousha naku
男の顔面とボディを壊していく
おとこ の がんめん と ぼでぃ を こわし ていく
Otoko no Ganmen to bodi wo Kowashi teiku
これが現実なんだよシロートさん
これが げんじつ なんだよ しろーと さん
korega Genjitsu nandayo shiro^to san
左ストレートを最後に男は崩れ落ちた
ひだり すとれーと を さいご に おとこ は くずれ おち た
Hidari sutore^to wo Saigo ni Otoko ha Kuzure Ochi ta
答えなんか元々あるわけない
こたえ なんか もともと あるわけない
Kotae nanka Motomoto aruwakenai
栄光も夢も関係ない
えいこう も ゆめ も かんけい ない
Eikou mo Yume mo Kankei nai
欲しいのは 欲しいのは僕が僕である証だ
ほしい のは ほしい のは ぼく が ぼく である しょう だ
Hoshii noha Hoshii noha Boku ga Boku dearu Shou da
一度限りなんだこの人生は
いちど かぎり なんだこの じんせい は
Ichido Kagiri nandakono Jinsei ha
何もなくていいはずないだろ
なにも なくていいはずないだろ
Nanimo nakuteiihazunaidaro
理由なんて探す暇あるなら
りゆう なんて さがす ひま あるなら
Riyuu nante Sagasu Hima arunara
右の拳をもう一度打ちぬけ
みぎ の こぶし をもう いちど うち ぬけ
Migi no Kobushi womou Ichido Uchi nuke
打ちぬけ
うち ぬけ
Uchi nuke