【ロシア人豪商:Алэксэй Романович Зволинский】
【 ろしあ にん ごうしょう : Алэксэй Романович Зволинский】
【 roshia Nin Goushou : Алэксэй Романович Зволинский】
赤く揺らめく暖炉 家にもあったのに
あかく ゆら めく だんろ いえ にもあったのに
Akaku Yura meku Danro Ie nimoattanoni
悲しいけれど 燃やすべき 薪がなかった
かなし いけれど もや すべき たきぎ がなかった
Kanashi ikeredo Moya subeki Takigi ganakatta
弟達はいつも 機敏に動いてた
おとうと たち はいつも きびん に うごい てた
Otouto Tachi haitsumo Kibin ni Ugoi teta
腹は減るけど じっとしてたら 凍っちまうから
はら は へる けど じっとしてたら こごっち まうから
Hara ha Heru kedo jittoshitetara Kogotchi maukara
運命の贈り物 不幸を詰めた 入れ子人形
うんめい の おくりもの ふこう を づめ た いれこ にんぎょう
Unmei no Okurimono Fukou wo Zume ta Ireko Ningyou
開けても 開けても 悲しみばかり
ひらけ ても ひらけ ても かなしみ ばかり
Hirake temo Hirake temo Kanashimi bakari
白く煌めく大河 風を切り裂いて
しろく こう めく たいが かぜ を きり さい て
Shiroku Kou meku Taiga Kaze wo Kiri Sai te
走れ馬車よ 家は遠いか 空駆けろ
はしれ ばしゃ よ いえ は とおい か そら かけ ろ
Hashire Basha yo Ie ha Tooi ka Sora Kake ro
妹達もいつも 腹を空かせてた
いもうと たち もいつも はら を あか せてた
Imouto Tachi moitsumo Hara wo Aka seteta
頑張れ末妹よ 銀のお注射 きっと快くなるさ
がんばれ まつ いもうと よ ぎん のお ちゅうしゃ きっと こころよく なるさ
Ganbare Matsu Imouto yo Gin noo Chuusha kitto Kokoroyoku narusa
人生は贈り物 不条理詰めた 入れ子人形
じんせい は おくりもの ふじょうり づめ た いれこ にんぎょう
Jinsei ha Okurimono Fujouri Zume ta Ireko Ningyou
開けても 開けても 苦しみばかり
ひらけ ても ひらけ ても くるし みばかり
Hirake temo Hirake temo Kurushi mibakari
臥せる少女の治療費で 貧しい家計は燃え上がり
ふせ る しょうじょ の ちりょうひ で まずしい かけい は もえあが り
Fuse ru Shoujo no Chiryouhi de Mazushii Kakei ha Moeaga ri
父親は遠くの炭坑で 岩が崩れて下敷きに
ちちおや は とおく の たんこう で いわ が くずれ て したじき に
Chichioya ha Tooku no Tankou de Iwa ga Kuzure te Shitajiki ni
登りは険しき坂道も 転がり堕ちるは正に刹那
のぼり は けわし き さかみち も ころが り おちる は まさに せつな
Nobori ha Kewashi ki Sakamichi mo Koroga ri Ochiru ha Masani Setsuna
死せる少女の葬列に 愛した二人の影はなく
しせ る しょうじょ の そうれつ に いとし た ふたり の かげ はなく
Shise ru Shoujo no Souretsu ni Itoshi ta Futari no Kage hanaku
母親も娼婦の格好で 無理が崇って旅立てり
ははおや も しょうふ の かっこう で むり が すう って たびだて り
Hahaoya mo Shoufu no Kakkou de Muri ga Suu tte Tabidate ri
どんなに険しき坂道も 転がり堕ちれば正に刹那
どんなに けわし き さかみち も ころが り おちれ ば まさに せつな
donnani Kewashi ki Sakamichi mo Koroga ri Ochire ba Masani Setsuna
掘っても掘っても砂ばかり どれだけ掘っても脈がない
ほって も ほって も すな ばかり どれだけ ほって も みゃく がない
Hotte mo Hotte mo Suna bakari doredake Hotte mo Myaku ganai
拝金野郎の妄想さ 無駄な努力と他者は言う
はい こんの ろう の もうそう さ むだ な どりょく と たしゃ は いう
Hai Konno Rou no Mousou sa Muda na Doryoku to Tasha ha Iu
それでも 夫は諦めないわ
それでも おっと は あきらめ ないわ
soredemo Otto ha Akirame naiwa
掘っては掘っては砂埃 どれだけ掘っても切りがない
ほって は ほって は すなぼこり どれだけ ほって も きり がない
Hotte ha Hotte ha Sunabokori doredake Hotte mo Kiri ganai
成金野郎の道楽さ 馬鹿な男と学者は嗤う
なりきん やろう の どうらく さ ばか な おとこ と がくしゃ は し う
Narikin Yarou no Douraku sa Baka na Otoko to Gakusha ha Shi u
それでも 妻は着いてゆくわ
それでも つま は つい てゆくわ
soredemo Tsuma ha Tsui teyukuwa
(眩く)輝く黄金や(世界中に)轟く名声が
( くるめく ) かがやく おうごん や ( せかいじゅう に ) とどろく めいせい が
( Kurumeku ) Kagayaku Ougon ya ( Sekaijuu ni ) Todoroku Meisei ga
(貴方は)欲しい訳じゃない(燃えるような)夢が見たいだけ
( あなた は ) ほしい わけ じゃない ( もえ るような ) ゆめ が みた いだけ
( Anata ha ) Hoshii Wake janai ( Moe ruyouna ) Yume ga Mita idake
運命が望むのは 喜劇か 悲劇か
うんめい が のぞむ のは きげき か ひげき か
Unmei ga Nozomu noha Kigeki ka Higeki ka
今もう一度【神話】を 歴史の舞台に立たせたい……
いま もう いちど 【 しんわ 】 を れきし の ぶたい に たた せたい ……
Ima mou Ichido 【 Shinwa 】 wo Rekishi no Butai ni Tata setai ……
貧しい一家は離れ離れ 私は商家へ丁稚奉公
まずしい いっか は はなれ はなれ わたし は しょうか へ でっち ほうこう
Mazushii Ikka ha Hanare Hanare Watashi ha Shouka he Detchi Houkou
不細工な顔だと虐められたけど 誰よりも必死に働いた
ぶさいく な かお だと ぎゃく められたけど だれ よりも ひっし に はたらい た
Busaiku na Kao dato Gyaku meraretakedo Dare yorimo Hisshi ni Hatarai ta
私(貴方)を支えたのは家族の存在と 母の形見となった一冊の【叙事詩】
わたし ( あなた ) を ささえ たのは かぞく の そんざい と はは の かたみ となった いっさつ の 【 じょじし 】
Watashi ( Anata ) wo Sasae tanoha Kazoku no Sonzai to Haha no Katami tonatta Issatsu no 【 Jojishi 】
――"運命が残酷だ されど彼女を恐れるな
―― " うんめい が ざんこく だ されど かのじょ を おそれ るな
―― " Unmei ga Zankoku da saredo Kanojo wo Osore runa
女神が戦わぬ者に微笑むことなど 決してないのだから"――
めがみ が たたかわ ぬ もの に ほほえむ ことなど けっして ないのだから " ――
Megami ga Tatakawa nu Mono ni Hohoemu kotonado Kesshite nainodakara " ――
人生は贈り物 不条理詰めた 入れ子人形
じんせい は おくりもの ふじょうり づめ た いれこ にんぎょう
Jinsei ha Okurimono Fujouri Zume ta Ireko Ningyou
それでも私(夫)は掘るだろう(でしょう) そこに穴がある限り……
それでも わたし ( おっと ) は ほる だろう ( でしょう ) そこに あな がある かぎり ……
soredemo Watashi ( Otto ) ha Horu darou ( deshou ) sokoni Ana gaaru Kagiri ……