朧気な...記憶を...辿って...
ろう きな ... きおく を ... たどって ...
Rou Kina ... Kioku wo ... Tadotte ...
曖昧な...自分を...描いた...
あいまい な ... じぶん を ... えがい た ...
Aimai na ... Jibun wo ... Egai ta ...
どんな...顔で...笑い...どんな...声で...歌ったのか...
どんな ... かお で ... わらい ... どんな ... こえ で ... うたった のか ...
donna ... Kao de ... Warai ... donna ... Koe de ... Utatta noka ...
お気に入りの...白い...華飾衣が...何故...こんなに...緋いのか...
お きにいり の ... しろい ... はな しょく ころも が ... なぜ ... こんなに ... ひ いのか ...
o Kiniiri no ... Shiroi ... Hana Shoku Koromo ga ... Naze ... konnani ... Hi inoka ...
嗚呼…そうだ…私は…
ああ … そうだ … わたし は …
Aa … souda … Watashi ha …
彼に…殺されたんだっ…た……
かれ に … ころさ れたんだっ … た ……
Kare ni … Korosa retandatsu … ta ……
伯爵は何時からか 青髭と呼ばれていた
はくしゃく は なんじ からか あお ひげ と よば れていた
Hakushaku ha Nanji karaka Ao Hige to Yoba reteita
私が嫁いだ時分には もう既に呼ばれていた
わたし が とつい だ じぶん には もう すでに よば れていた
Watashi ga Totsui da Jibun niha mou Sudeni Yoba reteita
あんなにも優しい眼差しが 暗い色を帯びたのは
あんなにも やさしい まなざし が くらい しょく を おび たのは
annanimo Yasashii Manazashi ga Kurai Shoku wo Obi tanoha
染み付いた鉄の匂いと 血の匂いのせいかしら?
しみ つい た てつ の におい と ち の におい のせいかしら ?
Shimi Tsui ta Tetsu no Nioi to Chi no Nioi noseikashira ?
嗚呼 夫は私を愛してない 気付かない振りしてきたけれど
ああ おっと は わたし を いとし てない きづか ない ふり してきたけれど
Aa Otto ha Watashi wo Itoshi tenai Kizuka nai Furi shitekitakeredo
もう これ以上は偽れない 私は誰よりも愛していたから
もう これ いじょう は いつわれ ない わたし は だれ よりも いとし ていたから
mou kore Ijou ha Itsuware nai Watashi ha Dare yorimo Itoshi teitakara
過ぎ去った季節の 長い夜の中で 貴方の瞳の奥で
すぎ さった きせつ の ながい よる の なか で あなた の ひとみ の おく で
Sugi Satta Kisetsu no Nagai Yoru no Naka de Anata no Hitomi no Oku de
抱かれていたのは 愛されていたのは 本当は誰なのかしら?
だか れていたのは あいさ れていたのは ほんとう は だれ なのかしら ?
Daka reteitanoha Aisa reteitanoha Hontou ha Dare nanokashira ?
決して戻せない季節の 長い闇の中で 禁じられた部屋の奥で
けっして もどせ ない きせつ の ながい やみ の なか で きんじ られた へや の おく で
Kesshite Modose nai Kisetsu no Nagai Yami no Naka de Kinji rareta Heya no Oku de
寂しさ埋めるように 虚しさ燃やすように 不貞の罪を重ねた嗚呼……
さびし さ うめ るように むなし さ もや すように ふてい の つみ を おもね た ああ ……
Sabishi sa Ume ruyouni Munashi sa Moya suyouni Futei no Tsumi wo Omone ta Aa ……
誓いを破られた事に腹を立てたからなのか、
ちかい を やぶら れた こと に はら を たて たからなのか 、
Chikai wo Yabura reta Koto ni Hara wo Tate takarananoka 、
愛していたからなのか、今ではもう判らない。
いとし ていたからなのか 、 いま ではもう わから ない 。
Itoshi teitakarananoka 、 Ima dehamou Wakara nai 。
最初の妻を殺したとき、理性も共に死んだのか、
さいしょ の つま を ころし たとき 、 りせい も ともに しん だのか 、
Saisho no Tsuma wo Koroshi tatoki 、 Risei mo Tomoni Shin danoka 、
新しい妻を娶っては犯し、犯しては殺した……。
あたらし い つま を しゅ っては おかし 、 おかし ては ころし た ……。
Atarashi i Tsuma wo Shu tteha Okashi 、 Okashi teha Koroshi ta ……。
どれ程 信じて祈っても 救ってなどくれなかった……
どれ ほど しんじ て いのって も すくって などくれなかった ……
dore Hodo Shinji te Inotte mo Sukutte nadokurenakatta ……
例え相対者が神でも 唯 穴さえあれば 嗚呼 貫いてくれよう――
たとえ そうたい もの が かみ でも ただ あな さえあれば ああ つらぬい てくれよう ――
Tatoe Soutai Mono ga Kami demo Tada Ana saeareba Aa Tsuranui tekureyou ――
《私の槍で》!
《 わたし の やり で 》 !
《 Watashi no Yari de 》 !
彼の留守の間に 宝部屋を回る
かの るす の まに たから へや を まわる
Kano Rusu no Mani Takara Heya wo Mawaru
開けたことのない 部屋が気になっている
ひらけ たことのない へや が きに なっている
Hirake takotononai Heya ga Kini natteiru
娘の耳元で 私はこう囁いた――
むすめ の みみもと で わたし はこう しょう いた ――
Musume no Mimimoto de Watashi hakou Shou ita ――
黄金の鍵の、禁じられた部屋には、
おうごん の かぎ の 、 きんじ られた へや には 、
Ougon no Kagi no 、 Kinji rareta Heya niha 、
取って置きの宝物が隠されているわ……
とって おき の たからもの が かくさ れているわ ……
Totte Oki no Takaramono ga Kakusa reteiruwa ……
そう その鍵穴に 挿れたら 回せばいい
そう その かぎあな に そう れたら まわせ ばいい
sou sono Kagiana ni Sou retara Mawase baii
もう すぐ出ちゃうでしょ 私達の【屍体と衝動】
もう すぐ でち ゃうでしょ わたしたち の 【 したい と しょうどう 】
mou sugu Dechi yaudesho Watashitachi no 【 Shitai to Shoudou 】
嗚呼 女が本当に抱いて欲しいのは 肢体ではなく魂なのよ
ああ おんな が ほんとう に だい て ほしい のは したい ではなく たましい なのよ
Aa Onna ga Hontou ni Dai te Hoshii noha Shitai dehanaku Tamashii nanoyo
罪な人ね でも 愛しい人よ
つみ な にん ね でも いとしい にん よ
Tsumi na Nin ne demo Itoshii Nin yo
哀しみは 憎しみじゃ 決して癒せないわ
かなし みは にくしみ じゃ けっして いやせ ないわ
Kanashi miha Nikushimi ja Kesshite Iyase naiwa
宵闇に唄が 響くだけ
よいやみ に うた が ひびく だけ
Yoiyami ni Uta ga Hibiku dake
貴方の喜劇を今 終わりにしよう!
あなた の きげき を いま おわり にしよう !
Anata no Kigeki wo Ima Owari nishiyou !