微かな音を立てて 病室の窓を四月の風が叩いた
かすか な おと を たて て びょうしつ の まど を しがつ の かぜ が たたい た
Kasuka na Oto wo Tate te Byoushitsu no Mado wo Shigatsu no Kaze ga Tatai ta
歳を重ねては 譲れない事や 手離せなくなる事もあるでしょうと
とし を おもね ては ゆずれ ない こと や てばなせ なくなる こと もあるでしょうと
Toshi wo Omone teha Yuzure nai Koto ya Tebanase nakunaru Koto moarudeshouto
屋上から破り捨てたカルテは 今もまだ宙を舞っている
おくじょう から やぶり すて た かるて は いま もまだ ちゅう を まって いる
Okujou kara Yaburi Sute ta karute ha Ima momada Chuu wo Matte iru
朝がやってくる前に 書き換えてしまいたいな
あさ がやってくる まえ に かきかえ てしまいたいな
Asa gayattekuru Mae ni Kakikae teshimaitaina
白衣を着た彼らも 嘆いてばかりはいられない
はくい を きた かれら も なげい てばかりはいられない
Hakui wo Kita Karera mo Nagei tebakarihairarenai
君がもう何一つ 恐れずにいられるように
くん がもう なに ひとつ おそれ ずにいられるように
Kun gamou Nani Hitotsu Osore zuniirareruyouni
冷たい指先で秒針に触れる 少しずつ戻していく
つめた い ゆびさき で びょうしん に ふれる すこし ずつ もどし ていく
Tsumeta i Yubisaki de Byoushin ni Fureru Sukoshi zutsu Modoshi teiku
我が子を持てば 残したいものや 聞かせてあげたい歌があるのだと
わが こ を もて ば のこした いものや きか せてあげたい うた があるのだと
Waga Ko wo Mote ba Nokoshita imonoya Kika seteagetai Uta gaarunodato
膝を抱えて 季節は変わっても また此処で始めよう
ひざ を だえ て きせつ は かわ っても また ここ で はじめ よう
Hiza wo Dae te Kisetsu ha Kawa ttemo mata Koko de Hajime you
確かに君は誰かに愛されているよ
たしかに くん は だれか に あいさ れているよ
Tashikani Kun ha Dareka ni Aisa reteiruyo
痛みだけを取り除こうか
いたみ だけを とりのぞこ うか
Itami dakewo Torinozoko uka
朝がやってくる前に 書き換えてしまいたいな
あさ がやってくる まえ に かきかえ てしまいたいな
Asa gayattekuru Mae ni Kakikae teshimaitaina
白衣を着た彼らも 嘆いてばかりはいられない
はくい を きた かれら も なげい てばかりはいられない
Hakui wo Kita Karera mo Nagei tebakarihairarenai
君がもう何一つ 恐れずにいられるように
くん がもう なに ひとつ おそれ ずにいられるように
Kun gamou Nani Hitotsu Osore zuniirareruyouni
大丈夫だよ
だいじょうぶ だよ
Daijoubu dayo